まなびの『び』

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急速に悪化する米中関係〜ペロシ下院議長が台湾訪問〜

アメリカのペロシ下院議長が台湾を訪問し台湾の蔡英文総統と会談を予定していることを受け、急速に米中の対立が激しくなりました。中国がどこまでの行動を起こすか、非常に危険な可能性があります。

 

アメリカでは、大統領が死亡するなどして執行が不可能になった状態となった場合に誰が大統領職務を行うかを予め順位づけする大統領権限継承順位というものがあり、これによると下院議長は継承順位第2位とされています。すなわち、大統領、副大統領に次いだ立場ということになります。それだけの立場の政治家が、ひとつの中国として国家として認めない台湾を訪問するということで、中国が激しく反発しているという状況です。

 

ペロシ下院議長が台湾を訪問するという報道は7月18日になされると、中国は強力な措置をとる旨発言をしています。7月28日にはバイデン大統領と習近平国家主席の間で電話協議が行われるも、「火遊びをすれば、やけどをする」といった警告を行っており、軍事的な圧力もちらつかせています。

実際に中国が遼寧山東の空母艦隊が出向、アメリカも台湾近くに原子力空母を配備し、それぞれ有事に備える構えとなっています。中国の対抗措置としてはおそらく台湾周辺での軍事訓練といった対抗策では、とも言われていますが、習近平主席としても共産党大会を控える中、弱腰ともとられない対応をする必要がでてくるかと思います。

 

この報道も反映して、と言われていますが、ドル売りが続いています。もともと利上げペースの停滞の期待から急速に円高にドル安転じていましたが、8月2日はさらに円高となり130円台に到達しました。

日経平均も1.4%下げる展開となりました。

今更ながら台湾は日本と距離的に近く、いざ有事ともなれば対岸の火事ではいられません。中国は日本にとっての最大の貿易相手国であり、中国へ進出している企業も非常に多いです。アメリカは日本の軍事同盟国家であり、有事の際にはこれら経済に大きく影響をうけることは間違いありません。

コロナ禍やロシアによるウクライナ侵攻もあり、危機管理の中で中国依存を下げる企業も出てきているところではありますが、それにしても米中関係の急速な悪化が続けば、どれほどの混乱が発生するか読めません。