まなびの『び』

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なぜ企業は脱炭素に取り組むのか。

以前の記事でグリーントランスフォーメーション(GX)実行会議について触れましたがこの記事の中で、GXリーグに440社が賛同したとありました。なぜ企業はここまでGXに取り組むのでしょうか。

 

例えば電気自動車メーカーや太陽光発電設備メーカーといった脱炭素に資する技術自体を販売している企業は、ダイレクトに自身の売上に直結します。しかし、その様な企業だけではありません。企業のホームページを見てみると、企業が脱炭素などに向けた取組を公表しているところが少なくありません。では、なぜ企業は脱炭素に取り組むのでしょうか。中には環境を守る必要があるという純粋な気持ちの企業もあるでしょうが、経営にとっての面で見ていきます。

断炭素はサプライチェーン全体で取り組む問題に。

すでに脱炭素はサプライチェーン全体で見られているという面です。例えばiPhoneを製造しているApple社。Appleは2030年までに製品の生産を通じて排出されるCO2をカーボンニュートラルにする方針を公表しています。

これはApple自身だけではなく、その部品の製造、組み立てを行っている仕入先の企業も含め、つまりサプライチェーン全体でカーボンニュートラルとするということを意味しています。

こうなると、カーボンニュートラルに取り組まない企業の製品はAppleには買ってもらえず、マーケットから退場してしまうことを意味します。これによりコストをかけてでも脱炭素に向けた取組をする必要がでてきます。

金融機関の評価

脱炭素に反する行動を取っている企業と取引をすること自体がリスクとなりつつあり、それが金融機関との取引であれば経営リスクに直結します。例えば、発電用石炭の採掘には融資を行わない、石炭火力発電所の新設工事の保険は引受を行わないといったことを発表しています。

メガバンク、発電用石炭の新規採掘への融資を停止: 日本経済新聞

損保引き受けも脱・石炭 損保ジャパン、ESGを基準に: 日本経済新聞

さらに言えば、脱炭素へ取組を行うことで資金調達がしやすくなるということがあります。これが前回の記事でも記載のあったトランジションファイナンスと呼ばれるものです。企業が脱炭素に対する戦略をもとに信頼性を判断し、それに基づいて融資を行う金融手法です。

エネルギーコストの低減

直近では地政学的な問題もありエネルギー調達価格が上昇していますが、将来的に、安価に電力を発電できる石炭火力が敬遠され、発電コストが高い洋上風力発電などの発電量シェアが高くなれば、電力コストはさらに高くなることになります。当然に使用電気量を減らす取組ができれば脱炭素にも繋がり、エネルギーコストの削減にもつながることになります。

 

このように企業が脱炭素に取り組むことはメリットもあります。特に国際的な取引に関してはその重要性が増します。願わくば、GXリーグの様に国際的にもイニシアティブをもったルールづくりから取り組めれば、日本にとって大きな経済戦略を描けると思うのですg