確定拠出年金のメリット
3大メガバンクグループのひとつであるみずほフィナンシャルグループが企業年金を確定拠出年金に一本化するというニュースがはいってきました。
なぜ確定拠出年金なのか、そのメリットは何なのか、見ていきます。
企業年金とは、公的年金の上乗せとして企業が福利厚生の観点で従業員が退職後に受け取ることができる様に導入する制度です。
現在新たに導入できる制度としては、「確定給付型年金(DB)」と「確定拠出型年金(DC)」の2種類があります。
確定給付型年金は、企業が加入者に対して給付する内容を予め合意し、それに向けて企業が年金運用機関に拠出していきます。年金としていくら給付するかが確定しているため、確定給付型年金と言います。従業員にいくら給付するかが確定をしているため、運用成果が芳しく無く、給付額に不足する様であれば、その差分を会社が補填する必要があります。
これに対して確定拠出型年金は、企業が加入者に対していくら拠出するかが確定している年金が確定拠出年金となります。拠出した掛け金の運用は加入者が指示することで、年金を受け取ることができる給付金はその運用指示の結果により変動します。
ざっくりといえば運用業績が悪いときに、企業が責任をもつか、加入者が責任をもつか、という違いがあります。
さて話をみずほフィナンシャルグループの話に戻して、なぜ確定拠出型年金に一本化するかについてですが、今日本の社会の流れの一つでもある人材流動化が背景にあります。確定給付型年金は従来の終身雇用型に親和性が高い年金制度となります。
給付金額が約束することから、中途採用された従業員に対して、どの様に給付するかという課題があり、移管受け入れを認めていない企業も少なくありません。これはみずほフィナンシャルグループも同じです。
これに対して確定拠出年金は従業員ひとりひとりの運用した資産として移管が容易です。このため、みずほフィナンシャルグループは人材流動化を念頭に確定拠出型年金へ制度を一本化するという判断をしたと考えられます。
今回の報道では、年金制度の一本化だけではなく、その他の人事制度についても終身雇用制度を前提とした制度から改革をする内容が含まれており、外部からの人材登用や、若手登用といったことを考えての取り組みだと思います。
すでにいくつかの企業で同様の人事制度改革は行われていますが、今後も引き続き人事制度改革を行う企業が増えて来るかと思います。