まなびの『び』

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ロシア産原油の上限設定とOPECプラスの減産

久しぶりの原油関連の話題です。

ロシアの資金源の膨張を断つという目的でロシア産原油の取引価格についてG7が上限価格を設定しました。その水準が1バレル60ドルです。上限価格を超えた取引の場合、海上輸送の保険に加入できないといった輸出入業者へのペナルティをつけることで、取引を抑制していきます。

 

ただし、この1バレル60ドルという上限価格については、Bloombergの記事によると現在取引されているウラル原油の取引価格を上回る水準ということで、そうであれば現行の取引を容認する方向にも思えます。

EU、ロシア産原油の上限価格バレル60ドルで合意-G7が支持 - Bloomberg

 

というのもやはり世界の原油取引の中でロシア産原油の割合は大きく、完全に取引を停止してしまえば、ようやく落ち着きを取り戻しつつある原油価格の再度の高騰を招きます。インフレに苦しんでいる、特にヨーロッパにとっては大ダメージになってしまいます。原油供給量を確保しつつ、原油価格に影響が出にくい水準を選んだように思えます。

 

この結果を見据えてになりますが、OPECプラスが12月会合を開き、11月から引き続き日量200万バレルの減産を継続することを発表しています。

OPECプラス、現行の原油生産枠維持で合意-需給リスク見極め - Bloomberg

中国のゼロコロナ政策による経済影響やアメリカやヨーロッパでのリセッションに対する懸念により、原油の需要が減ることが想定されていますが、OPECプラスは引き続き減産を行うことで、価格が下落することを嫌がったものになります。

 

減産の発表があったので、価格が上昇してもいいはずなのですが、価格は下落しました。

ロシア産原油への上限価格設定、OPECプラスの減産により実際の需給がどうなるか不透明からか原油先物価格は不安定な動きになっている、という形でしょうか。また中国のゼロコロナ政策に対する政権への抗議活動も、世界経済へ与える影響が大きくこちらに対しても警戒があるのかもしれません。