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住友化学の業績見通し下方修正について

今回は2/1に発表された住友化学の2023年3月期第3四半期決算について見ていきます。

 

2022年4月〜12月の決算内容は売上収益が前年同期比10%と増収したものの、営業利益が63.9%の減、所有者に帰属する四半期利益が54.9%減と減益となりました。

そして今回住友化学を取り上げた大きな理由がタイトルの通り今期の業績見通しの下方修正です。

売上収益は▼190,000百万円の下方修正ですが、驚くべきは営業利益及び親会社の所有者に帰属する当期利益の修正後0百万円。つまり今期は利益がでないと発表しました。加えて、

期末配当利益も12円から「未定」へと修正されました。何があったのでしょうか。

 

住友化学は、エッセンシャルケミカルズ、エネルギー・機能材料、情報電子化学、健康・農業関連事業、医薬品といったセグメントがありますが、2022年4月から12月に業績の結果として苦戦したのは自動車用途の樹脂製品等を取り扱うエッセンシャルケミカルズです。原料価格の上昇、自動車用途の需要減少により販売数も減ったことが原因です。この傾向は第4四半期(2023年1月〜12月)も続く見込みで、営業利益の0百万円の下方修正に繋がりました。第3四半期まであった71,441百万円の営業利益が0百万円になるということですので、第4四半期でそれだけ赤字になることを見込んでいることになります。

そして、配当は根本的な考え方としては企業の利益の一部を株主へ分配することですから、利益がでない見通し野中で配当見通しを出すことができないとして未定へ変更したことになります。

 

当然ですが市場はこの決算発表により強く反応しました。決算発表翌営業日の2月2日には8.5%の下落となりました。

 

住友化学だけでなく、今回の業績見通しの下方修正は、知っておくべき事が多いかと思います。石油化学系は需要が減少しつつあり、価格も抑えられています。一方で原材料調達などコストについては上昇しているという状況。2023年度の世界的な景気減速の懸念がある中で、企業は難しい舵取りが必要となりそうです。