まなびの『び』

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韓国への輸出規制解除へ。日韓関係の雪解けと安全保障。

2019年7月から実施されている韓国への輸出規制に対して、今後解消に向けた協議をしていくことについて、経済産業省から発表がありました。これまで日本政府が韓国に対して輸出規制が行ってきたのは半導体製造に使用するフッ化水素などの3品目。さらに輸出手続きを簡略化できる「ホワイト国」から韓国を除外するなどの対応も日本政府は取ってきました。経済の面で見れば、日韓関係は冷え切っていた状態にあります。

 

なぜ、このような状況となっているかといえば、きっかけは元徴用工問題となります。第二次世界大戦下の日本統治時代に、徴用した現地韓国人の労働者(元徴用工)を奴隷のように働かせたとして、当時の日本企業に対して損害賠償請求訴訟を起こしたのが徴用工問題の非常にざっくりとした認識ですが、2018年に韓国の最高裁判所である韓国大法院が、日本製鉄、三菱重工業に対して損害賠償責任を認める判決を下しました。

日本は1965年に韓国政府と日韓請求権協定を締結しており、徴用工問題は解決済みとしてきた立場にありましたが、そのような中での大法院の判決であったため、日本政府は判決に猛抗議。この対抗という形で、上述の輸出規制やホワイト国からの除外といった対応をとりました。こうして日韓関係は悪化をしていきました。

 

今回、韓国政府が元徴用工問題の解決案として、韓国政府傘下の財団が勝訴にいたった原告に対し弁済をしていくことを発表しました。

朴外相は声明で「和解と親善友好協力に基づく未来志向的な関係を発展させていくため、共に努力していくことを願っている」

韓国政府、日韓懸案の元徴用工問題で解決策発表-財団が肩代わり - Bloomberg

と韓国側が解決策を提示したことで、日本としても規制解除に向けた雪解け交渉を行う段階に至ったということになります。

 

米中対立も深まる中で、同盟関係にある日米韓3カ国は連携を強化する必要があります。台湾有事が警戒され、また北朝鮮弾道ミサイル開発に向けた動きが活発となっている中で、日韓の関係性の強化は安全保障上重要です。

まさに未来志向的に日韓関係が良好に向かい、経済・安保上、両国間のメリットになればよいと思います。