まなびの『び』

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1月の実質賃金は4.1%減。私達の賃金はどうなる?

一人あたり賃金から物価変動を差し引いた実質賃金の1月速報値は前年同月比4.1%減となったことが、厚生労働省の毎月勤労統計調査で発表されました。

一人あたり賃金(現金給与総額)は前年同月比0.8%増と微増したのですが、物価上昇が急激に伸びていることで、実質賃金は大きく下がっています。

先月に2022年の実質賃金を記載した記事を書きましたが、2022年では▲0.9%減であり、そこから大きく下がったことがわかります。

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12月は一時金として支給されるいわゆるボーナス部分が好調だったところが、1月は剥がれたことで、大きく下落した、ということの様です。

 

この実質賃金は労働者の生活の苦しさに直結します。

物価が上昇していてもそれ以上に給与が伸びていれば問題ないですが、物価が上昇しているにも関わらず給与が伸びていないということは、仮にそれまで余剰があっても余剰が目減りする、あるいはなくなる、もしくは赤字に陥るということを意味します。こうなると家計の購買力、購買意欲が低下することになりますので、内需が下押しされることになります。

日本の現状は物価上昇は円安やエネルギー価格や資源高騰などの外的要因によるものが多く、賃金上昇に期待せざるを得ません。

 

具体的には本格交渉が始まりつつある労使交渉、春闘です。この労使交渉による賃金上昇が物価上昇を上回ることで、現状から逆転し購買意欲の上昇が見込まれることになります。日本労働組合総連合会(連合)が要求しているのは5%の賃金上昇ですが、本当にここまで上昇してくれれば、現在の物価上昇にも耐えられます。

実態としては、日銀は1月に発表した経済・物価情勢の展望において、2023年度の物価上昇率を1.6%としているので、この見通しを信じればもっと低くても良いことになります。

 

先日は大手銀行が初任給を大幅に上昇させた、というニュースもありましたが、物価上昇による賃金上昇圧力に加え、人材確保のための戦略的な賃金上昇も念頭に置かれていることが想像されます。ただ、これも企業の体力次第ということになりますが、そうなると体力のない企業は優秀な若手人材が集まらない事態にもなりえます。

実は企業から見れば、ここでの賃金上昇の決定が、将来の経営危機になってくる可能性もはらんでいるようにも感じます。