まなびの『び』

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水素発電所の水素供給方法について

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昨日の記事で水素発電所の稼働について触れました。発電に使用する水素をどこから供給するかについて、イーレックスはHydrogen Technology株式会社と提携し、Hydorogen Technology社の技術から発電用と水素ステーション用の水素を生成することとしています。このニュースリリースによると、超マフィック岩と水を反応させ、水素を生成するとしていて、これによりカーボンフリーの水素が30円/Nm3で得られるとしています。現状技術ベースでの水素調達コストが173.5円/Nm3ですので、コストを約6分の1としています。

(間違っているかもしれませんが)超マフィック岩と水との反応による水素供給の理論については、生命誕生の研究分野にその説明の記載がありました(プレスリリース<JAMSTECについて<海洋研究開発機構)。

この説明上では地球初期の海底を模した高圧高温の環境下での水素生成の実験で、圧力は500気圧(50MPa)となっていますが、水素発電のニュースリリースでは1MPa未満の低圧下での生成となっていますので、根本的に違うのか、それとも例えば安定生成のために低圧としているのかはわかりません。

いずれにせよ、地上気圧がおおよそ1000hPaとすれば、1MPaは地上気圧の10倍とすることになりますので、今回の水素発電所のために水素を作成するには一定のエネルギーをかける必要があります。このエネルギーをどのように調達するかによって、この水素発電所がゼロカーボンと言ってよいのか、安定的に生成できるかという課題もあるのかなと思います。(今回のニュースリリースにも今後、カーボンフリーであることについての『認証等について検討をして参ります』とあります)

脱炭素に向けた水素発電および水素燃料で最大の課題は、いかに水素を安定的にそしてカーボンフリーで供給できるか、ですが、今回の発電所の設備が約225平方メートルとそれほど敷地面積も広くないので、実証がうまく行けば、一定規模の工場に設置するなどでの水素、電力の地産地消ができるとかになったら面白いのかもしれないですね。

 

イーレックス(9517)~2022年3月水素発電所稼働予定~

1月1日の記事の2022年の出来事のまとめ記事で、3月に日本国内初の水素発電所が稼働することを記載しています。運営するのはイーレックスという東証1部の企業です。

 

イーレックスニュースリリース国内初、水素専焼発電所 商業運転化へ着手~水素事業における共同事業開発検討に関するお知らせ~ | イーレックスおよび国内初の商用の水素専焼発電所 山梨県「富士吉田水素発電所」の起工式挙行のお知らせ | イーレックス)によると、発電容量は360kWと規模としては大きくないですが、今回は水素の安定供給、発電・売電の課題の実証実験でもあり、今後大型水素発電の展開を計画するとしています。

 

イーレックスの事業内容

イーレックスですが、企業のセグメントとしては、電力事業の単一セグメントですが、有価証券報告書にサービス別の販売実績が掲載されていたため、そちらをグラフ上にすると、次の通りです。

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電力について川上から川下まで、自社での燃料の調達から、発電、電力の小売・卸売で電気供給の取り扱いをしています。

バイオマス発電所が4か所で稼働、計画中のバイオマス発電所が3か所となります。また、海外でも発電事業を展開しており、カンボジア水力発電ベトナム・フィリピンでもバイオマス発電の開発を勧めています。

電力小売では、上記の発電所からの電力や電力会社から調達した電力、卸売電力取引所で市場から調達した電力を、事業者・家庭向けに電力供給をしています。

 

イーレックスの業績推移

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販売電力量が28.4%増、発電所も順調に稼働しており、売上高は堅調に増えています。2021年は冬季の電力価格の高騰があったため、第4Qにおいて売上高・利益ともに急増しています。これはある意味特殊要因のため、今期は2021年度比では2021年実績と比べ抑えめの予測となっています。直近2021年11月11日公表の上期の決算発表資料によると、売上高、利益ともに計画通りの進捗とのことです。JEPX価格も高騰している追い風ともなっています。

企業の脱炭素に向けた動きの中でカーボンフリーの電力調達が一つのテーマになっていますので、CO2排出量の少ないバイオマス発電は引き合いが大きくなってもよい様に思います。

 

イーレックスの株価推移

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イーレックスの株価ですが、6月頃に石炭火力発電所を買収、バイオマス発電所へ転換するといった記事が報道されると上昇し注目されましたが、第1Qで減益だったことから下落をしました。12月に成長株が軒並み下がる傾向が見られましたが、このイーレックスもその流れを受けたためか、下落傾向にいます。

 

2022年政治イベント、経済イベントまとめ

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2021年の日経平均まとめ

2021年の日本の株価の動きも見ながら、2021年はどの様な年だったかを振り返ってみたいと思います。

 

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2021年の日経平均株価終値は28,791.71円と年末終値としては32年ぶりの高値だったそうです。2020年終値が27,444.17円でしたから、4.9%上昇となりました。

高値は9月14日の30,795.78円

一方安値は8月20日の26,954.81円

となります。

 

新型コロナウイルスによる緊急事態宣言

2020年に引き続き、2021年は新型コロナウイルスに翻弄される1年となりました。振り返ると、東京都の一日の新規感染者として初めて1000人を超えたのが2020年12月31日。当然に年明け以降も感染が続きます。

2021年の新型コロナウイルス感染症に伴う緊急事態宣言が発令されていた時期は次の通り。

・1月8日から3月21日

・4月25日から6月20日

・7月12日から9月30日

2020年の第1回目の緊急事態宣言下の様な厳しい制限ではなかったものの、営業活動が制限され、特に飲食業や観光業にとってダメージが大きいものでした。

感染力の強いデルタ株が2021年4月に日本で初めて確認され、長くコロナと共存していく方法を模索していた印象があります。

11月末にはさらに感染力の強いオミクロン株が発見。日本でも確認され、欧米では過去最高あるいは同等程度の感染者数となるなどニュースとなっています。

 

菅首相から岸田首相への交代

2021年9月3日に菅首相が9月30日の自民党総裁選に立候補しない旨の意思を表明。それまでの支持率低下で10月の衆議院選挙が戦えないという判断もあったのだと思いますが、この表明以降、日経平均株価は急回復。上記の通り9月14日には年初来高値30,795.78円をつけ、1990年以来の高値水準となりました。この日が2021年の高値となります。

自民党総裁選で勝利を収めた岸田首相の経済政策に中身がないと評価をされたためか、総裁選前後で株価は急落。また、金融所得課税強化、自社株買いに対する規制、などに言及すると日本株価が下がる要因にもなりました。

 

サプライチェーン問題

また、今年の相場を振り返る上で重要なことが、サプライチェーンの問題です。世界的な半導体不足により自動車の減産が発生したり、東南アジアにおけるコロナ感染者の増加、アメリカでの人手不足などで、食肉等食料加工品の輸入が滞りました。そして、何より原油天然ガス、石炭といったエネルギーコストが上がり、輸送費コスト、製造コストの上昇、あるいは中国の電力不足により輸入する原料が少ないなどの影響もありました。

 

アメリカでのテーパリング議論と中国での恒大集団デフォルト危機

そして、アメリカではコロナ禍からの急激な生産活動の再開により、人件費高騰による消費者物価の高騰もあり利上げが早まるのでは、といったアメリカ市場発の株価の動きに、日本株式相場も揺り動かされました。また、中国では最大規模の不動産会社である恒大集団が債務不履行の可能性が高まると、世界的に株価が急下降。一時期2008年のリーマンショックの再来かとも言われ、ショック相場のような形にもなった年でした。

12月の相場振り返り

2021年12月の相場の振り返りです。eMAXIS Slimシリーズの基準価格の推移を参考にみていきます。図は前月末の各投資信託の基準価格を1として、その推移をグラフ化したものです。参考にドル円の推移も掲載しています。

 

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12月はオミクロン株に大いに影響を受けた相場となりました。

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11月25日にオミクロン株が発見され、高い感染力の特徴が持つことがわかるとそこから相場は大荒れ。12月1日には日本で2例目の感染者確認。アメリカでも初の感染者が確認される等、制限が強化されていた時期でした。12月の初めはオミクロン警戒からリスク資産から安全資産への流入が見られ、株価のショック的な下落、円安で始まりました。

2週目に入る頃には、オミクロン株は感染力は高いものの重症化リスクは低いといった報道も出て、相場の急落は一段落を見せました。一方、インフレが深刻化。原油高やサプライチェーンの混乱等で日本国内でも企業物価指数も上昇。アメリカではテーパリング加速の見通しが高まります。そのような中で各国中央銀行等で政策会議が開催。日銀、アメリFOMCEU欧州中央銀行等、利上げやコロナ対応策の縮小を発表。金融政策が正常化に進む一方、市場では想定内の反応だったと見ています。

12月も終わりに近づく頃、オミクロン株の感染状況は悪化します。日本ではそれまでコロナ感染者数が落ち着いていたところでしたが、感染経路不明の市中感染事案が各都府県で確認され、明らかに感染者数の増加傾向が見られ、アメリカでも新規感染者数の2021年1月以来の水準、イギリス・フランスでも過去最多を更新するなど、オミクロンの感染力の強さが改めて認識されます。それでもアメリカでは低い失業者数に支えられ、過去最高値をちら見せしながら、2021年の取引が終了となりました。

日本でも年末終値としては32年ぶりの高値水準ということで、11月末からオミクロン株により荒れた相場でしたが、現状なんとか乗り切った形となります。

2022年政治イベント、経済イベント等のまとめ

昨年2021年は新型コロナウイルス東京オリンピック、岸田内閣の成立等、様々なイベントがありました。今年はどの様な1年となるのでしょうか。

2022年度の予定されている各イベントについて、そのスケジュールを見ていきたいと思います。

 

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○世界各地域で重要な政治イベントが

まず、我が国日本。7月には参議院議員選挙があります。岸田政権の誕生間近で行われた昨年の衆議院選挙では与党自民党は思ったよりも議席は減らず、よく残ったと思います。世界の様子を見てもコロナ禍の選挙はどうしてもその対応で与党には逆風で批判が集中しやすいですから。一方の野党は立憲民主と共産が自爆し、維新、国民民主がそれぞれ勝利を得ました。

今年の参議院選挙では岸田政権成立後の実際の動きの結果が反映されます。昨年の様にはいきません。果たしてどの様な争点となるのでしょうか。

海外でもアメリカでは中間選挙があります。こちらもバイデン政権が無事に乗り切ることができるのか、アメリカ政治は世界全体への影響度が大きく、注目です。選挙日程までにインフレ対策などどの様な政策を打ち出してくるのでしょうか。

韓国大統領選挙が3月に行われます。反日政権か新日政権か選挙結果次第では大きく揺れ動く可能性があり、日本にとって影響度が大きいと思います。

(追記:大統領選は新日派のユンソギョル氏が当選しました)

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またEU各国でも大統領選挙が予定されています。EUの場合は目下脱炭素が大きなテーマであることから、この対策強化が打ち出されることが予想されます。

中国でも中国共産党大会が秋に開催予定されており、習近平政権の2期目が2023年に終了することを受け、3期目に向けた動きが活発化することが予想されます。そのためにも政権強化のためにも香港や台湾の問題解消に向けた動きもありえます。

地政学的リスクが今年は大きくなりそうです。

 

○経済はどうなる?

今年の経済で一番影響を与えるのは、やはりアメリカ発だと思います。これまでのコロナ禍の経済対策が徐々に終了し、利上げが行われます。インフレが想定以上に進んでいますので、これが耐えられるのでしょうか。

中国でも、昨年、教育分野や不動産分野に実施したような規制強化が今年も行われるのか、これによる中国発の世界経済の混乱もあるかもしれません。

日本でも着々とインフレは定着化しつつあり、この中で今年の春闘で企業側が賃上げ要求にどのように答えるのか、も注目です。

また、トルコリラの暴落も果たして落ち着くことができるのか。これも気になるところです。

 

日本の証券市場では、4月に東京証券市場の再編が行われ、また9月には大阪証券取引所において祝日のデリバティブ取引(株価指数先物等)が行われるようになります。

また、2022年4月には民法改正により成人年齢が18歳に引き下げられ、契約手続きが親権者の同意なく18歳が手続きができるようになる。改正個人情報保護法改正により、データの海外移転への規制の強化の一方、データ活用に向けた規制緩和が行われる。といった企業へ影響が大きな変革もありますし、売電事業者への電力買取制度が変わったり、日本初水素発電所が稼働するなど、環境分野でも大きく変化があると思います。

 

○スポーツイベント

また2022年は冬季五輪が北京で、サッカーワールドカップカタールで開催されます。コロナ禍でもどの様な熱い戦いが繰り広げられるのでしょうか。

あけましておめでとうございます。2022年が明るい年になりますように。 

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あけましておめでとうございます。本年も「まなびのび」をよろしくお願いいたします。

昨年は本ブログをはじめ、自身が気になったことを思いつくままにアウトプットをするようになり、これまで漠然と読んでいたニュース記事等もより深く体の一部になっていく様に感じます。今年も可能な限り、自身や家族の負担にならない限り、続けていくつもりでいます。垂れ流しの「まなびのび」ですが、どうぞよろしくお願いいたします。

 

個人的にも今年は変化がある年の様に感じています。娘たちの成長を見守りながら穏やかに過ごして行ければよいと思いますが、どうか縁あってこの記事を読まれている方々にとっても2022年度が明るい年になることを願います。

 

ナブテスコ(6268)

風力発電銘柄第2段。ナブテスコ株式会社についてです。

 

ナブテスコの事業内容

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ナブテスコをセグメント別に見てみると、

コンポーネントソリューション:産業用ロボット部品、建設機械用機器

トランスポートソリューション:鉄道車両ブレーキ装置・自動扉装置・連結装置・安全装置、航空機部品、自動車用ブレーキ装置・駆動制御装置・安全装置、舶用制御装置・消火装置

アクセシビリティソリューション:建物及び一般産業用自動扉装置、排煙設備機器、プラットホーム安全設備、福祉・介護用機器、他一般用産業用機械

その他:包装機械、工作機械、鍛圧機械、繊維機械、立体モデル作成装置等

といった機械を製造しています。

 

会社案内に「8つの主要製品」がわかりやすかったので、そちらを見て行きます。

1.精密減速機(中・大型産業用ロボット関節用途精密減速機:世界シェア60%)

2.油圧機器(油圧ショベル用走行ユニット:世界シェア25%)

3.鉄道車両用機器(鉄道車両用ドア開閉装置:国内シェア60%,鉄道車両用ブレーキシステム:国内シェア50%)

4.航空機器(フライト・コントロール・アクチュエーション・システム:国内シェア100%)

5.舶用機器(舶用エンジン遠隔制御システム:世界シェア40%)

6.商用車用機器(商用車用エアドライヤー:国内シェア70%,商用車用ウェッジブレーキ用チャンバー:国内シェア75%)

7.自動ドア(建物用自動ドア:世界シェア20%/国内シェア55%)

8.包装機(レトルト食品用充填包装機:国内シェア85%)

このように世界でのあるいは国内での高シェアの機械部品を製造しているメーカーとなります。

 

前身の「株式会社ナブコ」が流体・空圧制御技術を持ち、「帝人製機株式会社」が切削・組立加工技術を持っており、両社が合併して強みが現在まで生きている、といったイメージでしょうか。

そして、今回取り上げるきっかけとなる風力発電に関しては、「風力発電機ヨー旋回部向け故障回避機能付き状態監視機器CMFS」という機器を製造しています。風力発電は風向きの負荷によって方向を変えることになります。この負荷が大きく機械が壊れることを防ぐため、CMFSが外圧を検出するセンサーからのデータから解析し、ヨー駆動の制御を行う装置とのこと。つまり、風力発電の発電目的外の風圧による故障を防ぐ装置といったイメージで私は理解しましたが、これにより発電機の長寿命化を実現しているということの様です。

 

ナブテスコの業績推移

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ナブテスコは製造機械のメーカーですから、景気拡大による設備投資の影響を受けます。コロナ禍による需要悪化によく耐えている様な印象で、企業の強さを感じています。グラフの表示外となりますが、ナブテスコは2017年に利益のピークがあり、そこからは下降。今期はそこから回復見込みとなります。

今期、上のグラフ上、最終利益が急拡大していますが、これは「株式会社ハーモニック・ドライブ・システムズ」との協業を解消し、新株予約権を先方に買取請求を行うためで、これに今期第1Qに1,251億円評価益を計上しているからです。この一時的な利益がなかったとしても今年はコロナからの経済の回復に後押しされているように思っています。

 

ナブテスコの株価推移

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ナブテスコの1年間の株価推移ですが、4月ごろをピークとしてから下降局面が続いています。ようやく横横し始めたところでしょうか。

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ちなみにですが、月足で長期に見てみると、きれいな右肩上がりのチャートをしています。