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ブルー水素、グリーン水素とは?

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もう少しだけ水素の調達方法について、一般的な方法について見てみましょう。昨日の記事で少し触れましたが、水素を生成するためにはエネルギーが必要です。水素を生成する方法によってカーボンフリーかどうかが変わります。

 

従来の石炭や天然ガスといった化石燃料から生成する水素を「グレー水素」と呼びます。高温環境下で金属触媒があると、水蒸気と化石燃料由来のメタンがあると、一酸化炭素と水素が得られます。この方式を水蒸気改質といい、一般的な水素の工業的生産方法となります。一酸化炭素がさらに水蒸気と反応して二酸化炭素と水素する(シフト反応)ことで、先の反応と合わせて生産できる水素量が増えます。しかし、生成工程として二酸化炭素が排出されてしまいます。

 

このとき排出される二酸化炭素を回収し、貯蔵や利用する場合、「ブルー水素」と呼びます。具体的には回収した二酸化炭素を地中に貯留するものであったり、あるいは二酸化炭素をつかってコンクリートを作るといった技術もできています。

(参考)

manabinobi.hatenablog.com

 

また、別の精製方法として、「電解法」という方法があります。これはいわゆる水の電気分解で、学生のころ化学実験をした方も多いのではないでしょうか。この場合、水素生成に電気が必要となります。この電気を化石燃料を使わず、太陽光発電風力発電を使うことで、二酸化炭素を排出しない様にすることができます。このように製造工程で二酸化炭素を排出しない水素を「グリーン水素」と言います。

 

以上の様に水素製造にはいくつか種類がありますが、二酸化炭素の排出のことだけを考えれば、当然にグリーン水素が最もよいです。しかし特に国土が山がちで四季がある日本の場合、グリーン水素を作ろうにも太陽光発電風力発電に適した土地は少なく、安定的に生成することは難しいです。例えば砂漠の様に、その他の土地利用目的に適さないため土地価格が安い、安定して日照が得られる、といった地域が太陽光発電には最適で、これに隣接して水素生産ができるようになるのが水素製造コストが低下し、理想となります。ENEOS岩谷産業などオーストラリアからグリーン水素を輸入するといった動きが活発になってきていますが、これもEUの動きと比べると規模が小さいとのこと。現在の日本では、そもそも水素使用量が少ないために力を入れきれないといった背景もあると思います。今回の水素発電所での実証が進み、使用ニーズが増えてくると、安定供給に力がより入るという好循環になると良いと思います。

 

(参考)

manabinobi.hatenablog.com