まなびの『び』

投資運用、業界研究、時事、その他学んだことを

天然ガス価格が1年7ヶ月ぶりの価格まで下落。

25から現在進行系で日本を寒波が遅っており、電車内への閉じ込めや自動車の立ち往生などが発生しました。自分自身は特に何かに巻き込まれた、というわけではありませんが、非常に寒く暖房温度を上げて過ごしています。通勤期間が非常に辛いです。

 

さて、今回は久しぶりにエネルギーの話題ということで、天然ガスについて見ていこうと思います。というのも、この天然ガス価格が急激に下落している現状があります。

直近1年間の天然ガス先物価格ですが、3ドルを割り込んで直近1年間の最低を更新している状況となります。チャートをみていただくと、12月中旬から下落している傾向が見て取れると思います。

およそ5ヶ月ほど前の9月に掲載した自分の記事を読み返してみると、この当時はヨーロッパでは天然ガスがまるで危機が訪れるかの様に書いていました。

manabinobi.hatenablog.com

このときを振り返ると、ロシアがウクライナを支援する西側諸国に対して、天然ガスをロシアからヨーロッパ諸国へ運ぶノルドストリームについて、緊急で供給停止するといった対応をとり、これによってヨーロッパの天然ガス供給懸念が起こりました。

最も警戒するべきは冬場の暖房による需要が高まるときでこの時期にロシアの圧力が高まることも不安に思っています。

しかし、結果としてそれ以降11月を除いて下落傾向が続き、2021年5月以来の水準である3ドルといった価格に至っています。

 

価格がここまで下がった背景には、ヨーロッパで発生している暖冬です。日本では記録的な厳寒となっていますが、それとは反対にヨーロッパでは記録的な暖冬となっています。例えば1月1日のドイツの首都ベルリンでは、16℃を記録し、これは1月としては過去最高気温とのことです。最高気温の平均はおよそ3℃ほどということですから、異常性がわかります。この結果、暖房による需要圧迫がなくなり、天然ガスの価格が下がった、ということになります。

ノルドストリームは結局まだ止まっているようですが、ドイツは他の供給先を探し、ロシアからの供給停止を乗り切る事になりそうです。

今年の暖冬が温暖化の結果とは言わないですが、脱炭素に向けた動きをしていたヨーロッパが高温に助けられた構図は少し皮肉にも感じます。

 

さて、ではこれで安泰か、といえばそうとは言えません。というのも今の需要が減少したことによる価格低下は根本の原因について何も解決されていません。

例えばロシア-ウクライナの問題が長引きロシアからの天然ガス供給が見込めなければ、リセッション懸念が杞憂に終わり世界的なエネルギー需要が高まれば、来年度今度は厳冬となれば・・・。天然ガスをはじめエネルギー調達価格は引き続き綱渡り状態だと思っています。